公開日:2023年09月26日 更新日:2023年09月26日
おとり広告とは?違反しないためには?見かけたときはどうする?法律の内容から事例、対処法まで解説!
おとり広告とは?違反しないためには?見かけたときはどうする?法律の内容から事例、対処法まで解説!
おとり広告とは
おとり商法とは、広告などで実際には販売するつもりがない商品によって客寄せを行い、高額な商品の販売を行う悪徳商法の手口の1つです。実際の手口としては広告などで非常に安い値段で商品を掲載し、注文すると更に高額なものを強引に勧誘するものなど広告の方法は様々です。近年では、キャンペーン対象商品が早々に品切れしたにもかかわらず、テレビCMを継続した飲食チェーン店の広告が「おとり広告」に当たると判断された例があります。
おとり広告に関する法律とガイドライン
おとり広告に関する法律とガイドラインについて解説します。ガイドラインに違反すると罰則が設けられており、それが公になった場合には商品やサービスはおろか、企業自体のイメージダウンにつながるので気をつけましょう。
景品表示法
「景品表示法」は名称の通り、過大な景品類を提供することや、商品やサービスの品質、内容、価格などを偽って表示を行うことを規制する法律。消費者が自主的かつ合理的に商品やサービスの選択を行える環境を確保し、消費者の利益を保護することを目的としています。
景品表示法にかかる、おとり広告の事例は以下の様な内容となります。
・広告をしているのに商品が準備されていない
・「限定」としているが、その限定の内容が明瞭に記載されていない
同様に、その期間や一人当たりが受け取れる量が定められていない
・合理的理由がないのに取引の成立を妨げる行為がある
これらが規制されています。
優良誤認表示
優良誤認表示とは、具体的に商品やサービスの品質を、実際よりも優れていると偽って宣伝することです。競争業者が販売する商品やサービスよりも特に優れているわけではないのに、あたかも優れているかのように偽って宣伝し、表示することは違法です。
おとり広告の事例は、サプリメントの宣伝において、実際には効果がない、効果が見込めないのにも関わらず「食べながら痩せる」などとダイエット効果があるかのようにうに表現し、誤認を誘う表示させることを規制しています。故意でなく、誤って表示した場合も「優良誤認表示」に該当する場合は「景品表示法」により規制されることになるので注意してください。
有利誤認表示
商品やサービスの取引で価格その他の取引条件で消費者に対して、実際よりも有利であると偽って宣伝する、競争業者が販売する商品やサービスよりも特に安いわけでもないのに、著しく安いかのように偽って宣伝する行為が有利誤認表示に該当します。
・実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの
・競争事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの
不当に顧客を誘引し消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示を禁止しています。
その他誤認されるおそれのある表示
その他誤認されるおそれのある表示の具体例として、以下の様なものが挙げられるので参考にしてください。
・果汁5%以下の清涼飲料水などで「無果汁」もしくは「果汁○%」と表記せずに果実名だけが書かれた商品。
・消費者を誘発するために、取引できない不動産物件を表示して集客する
これらは、誤認表示の恐れがあるので厳重に注意します。
ガイドラインと改定への動き
インターネットを利用したショッピングやサービスの利用した取引の成長と拡大に伴い、様々なトラブルが増加している。そこで、消費者庁は景品表示法上の問題点及び留意事項をとりまとめています。
インターネット消費者取引に新たなサービス類型(フリーミアム、口コミ サイト、フラッシュマーケティング、アフィリエイトプログラム、ドロップシッピング)のサー ビス類型について、定義、概要、景品表示法上の問題点、問題となる事例及び留意事項についてのもの。また、健康食品から保健機能食品(特定保健用食品と栄養機能食品)を除いた「いわゆる健康食品」の広告などです。他にも、消費者が誤認を受けやすいサービスや商品についてガイドラインを改定するなどし、トラブルに対する対策や対応を行なっています。
おとり広告違反の罰則
おとり広告の表示規約違反に対しては、景品表示法によって措置命令が出される。この命令に従わないときは2年以下の懲役または300万円以下の罰金などの罰則を受けることがあります。(景品表示法第6条、第15条第1項・第2項)。
おとり広告の事例
次に、おとり広告違反の罰則について、実際の事例を含めて解説します。先述した様に、表現をしたことが故意でない、誤った場合でも、消費者が誤認を受け、優良誤認表示に該当すると判断された場合は罰則を受けてしまいます。出稿の内容に関しては、以下を参考にして内容を精査してください。
不動産(売却済み物件)
インターネットで賃借人募集の広告をしている賃貸マンション。不動産業者に問い合わせをしたところ、すでに契約済みであり別の物件を紹介された。
広告に出ていたマンションは、すでに2か月前に契約済みで、すでに取引できない物件だった。
この場合、宅建業者が広告をするときは、①著しく事実に相違する表示、および、②実際のものよりも著しく優良もしくは有利であると人を誤認させるような表示は禁止です。物件が既に契約済みで、取引できなくなっているにもかかわらず、広告表示を続けることは、売ることのできない物件について広告をすることになり、おとり広告となります。
飲食店(キャンペーン期間外)
大手飲食チェーン店で「新物!濃厚うに包み」(1貫税込110円)や「冬の味覚!豪華かにづくし」(4貫税込858円)などの商品を販売。テレビコマーシャルなどで宣伝していたものの、実際には全国の店舗の9割近い店舗で販売できない状態だった。
この事例の場合、終日販売しない日のあった店舗が全国594店舗(当時)のうち583店舗あり、提供期間である2021年11月26日~12月12日のうち半分以上の日数で提供できなかった店舗は70%強にも上るといった点が指摘されました。
つまり、不当表示にあたり実際よりも優れた商品だと誤認させる「優良誤認」と消費者に有利な取引だと誤認させる「有利誤認」となります。
そして、キャンペーン期間中でも、実際には購入できないのにも関わらず購入できるかのように表示した「おとり広告」とされます。
小売店(割引表示)
スーパーが店舗で販売する神戸牛についてチラシでは「今ついている本体価格よりレジにて3割引」などと宣伝したのに実際には仕入れておらず、スーパー側も仕入れがないことを確認しなかった。
この事例では、「実際には仕入れていない神戸牛を3割引で販売すると広告で宣伝した」のは「おとり広告」にあたると判断された。実際には購入できないのにも関わらず購入できるかのように表示したことが問題であり、違反にあたります。
おとり広告の対処法
様々な対策や対処を行なっても、おとり広告は横行しています。特にインターネットやSNSの広告は日常的に目にし、瞬時にして魅力的に感じるなど、購入意欲を掻き立てられるおとり広告も多く目にします。そこで、おとり広告でトラブルにあった場合の対処法について解説します。
クーリングオフ
「クーリングオフ」は、一度商品やサービスの契約の申し込みおよび契約の締結をした場合でも、契約を再考できるように、一定の期間であれば無条件で契約の申し込みを撤回したり、契約を解除したりできる制度です。
しかし、クーリングオフは法律や約款などに定めがある場合の取引に限られ、自分からお店に出向く、広告を見て電話やインターネットなどで申し込む取引は適用されないので注意しましょう。注文する前に返品対応についての規定をよく確認することをおすすめします。
損害補償制度
損害賠償は、「債務不履行や不法行為によって、他人に損害を与えた人が、被害者に対してその損害を補償する」制度だ。相手側から賠償が受けられない場合は、相手が加入している保険会社(組合)に損害賠償額を直接請求することも可能です。
損害賠償
損害賠償とは、違法な行為により損害を受けた被害者に対して、その損害を加害者が補償することです。おとり広告により、詐欺などの財産犯罪の被害に遭ったときにも、不法行為が成立します。
クーリングオフ、損害補償制度、損害賠償などの請求において、訴えを起こしても相手が悪質で、すぐにおとり広告であることを認め補償をするとは限りません。その様な場合には、泣き寝入りをせず、弁護士相談をして法的な処置を行うことも視野に入れておきましょう。
おとり広告を見かけたときは
被害に遭わずとも、実際の情報と店頭広告の情報が異なっていたなど、おとり広告を見かけたときはどの様に対処すべきか解説します。
各業界の規制団体
各業界の規制団体である、公正取引委員会、都道府県の景品表示法主管課において景品表示法違反に関する情報提供を受け付けています。また、不動産の場合などは、宅建協会や国土交通省などにも通報は可能です。
消費者庁
消費者庁の「景品表示法違反被疑情報提供フォーム」に通報することも1つです。景品表示法違反の疑いがあれば、業者への確認などの調査がおこなわれます。実際に景品表示法違反が確認されると、広告の差止め、課徴金の納付、刑事告発といった措置となります。
いずれに報告をする場合にも、広告の詳しい内容、事業者名などを明らかにするために、広告の 写真やWEBであればスクショを撮るなど証拠となるものを取っておくよう心がけてください。
まとめ
景品表示法の不当表示とされるおとり広告は、日常の中に存在しており誰もがその広告に惑わされる可能性があります。また、事業者の場合は、意図せず出稿した広告がおとり広告に該当してしまう場合もあるでしょう。
どのような広告が法に抵触するのか、もし、おとり広告で騙されたらどうすべきかを学び、事業者、消費者ともに正確な対処ができるようにしましょう。
ライタープロフィール
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メディアレーダー 運営事務局株式会社アイズ
- 広告・マーケティングに特化した媒体資料のポータルサイト「メディアレーダー」のマーケティング担当。
BtoBマーケティングを始め、Web広告やリード獲得目的の施策を展開中。
「めでぃつぶ」では、広告業界の方、マーケター必見のマーケティング知識・ノウハウを発信しています。
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